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長野家庭裁判所 昭和50年(少)94号 決定 1975年3月20日

少年 H・J(昭二八・一二・一生)

主文

本人を二三歳に達するまで特別少年院に送致する。

理由

第一虞犯事由

本人は、昭和四九年三月二〇日長野家庭裁判所諏訪支部において、昭和五〇年三月一九日までの間長野保護観察所の保護観察に付された者であるが、右保護観察開始後も保護観察所の指導に従わず、ボンド等劇物の吸飲を繰返し、動労意欲に欠け、無気力、無目的な生活を送り両親の注意も受け入れないばかりか、これに対して乱暴を加え暴言を吐く等、保護者の正当な監督に服さず、自己の徳性を害する行為を行う性癖を有するものであり、その性格、環境、行状に照し、将来罪を犯す虞れがあるものである。

第二適条

少年法三条一項三号イ、ニ

第三処遇理由

本件一件記録によれば、(1)本人は、一七歳頃からボンド遊びを始め、現在まで再三の保護的措置を伴う不処分や保護観察の処分を受けながらボンド吸飲の習癖から脱することができず、前記の如き無気力で怠惰な生活を続けていたものであること、(2)本人の知能は普通域にあるが、性格は意志薄弱で持続性、耐性が乏しく、お人好しで気前のよい所や派手な態度を誇示し、気軽に、かつ、即行的に行動化し易く、自主性に欠け、雰囲気にまきこまれたり、安易に追従同調してしまう脆さがあること、(3)両親は健全であるが、現状では本人の指導監護する能力が失われていることが認められる。

以上の事実を総合すると、この際本人を特別少年院に送致して規律ある団体生活を通じその性格を矯正し、ボンド嗜好癖から離脱させることが本人の健全な育成を期する所以であると思料する。

第四結論

よつて、犯罪者予防更生法第四二条、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項、少年院法二条四項を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 福井欣也)

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